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書評ブログがトレンドになる可能性|“本を推薦できる人”の存在価値が高まっている

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「価値のある本が読みたい」という人はたくさんいても、「読んでみて、価値があるかどうか判断しよう」という人は極端に減っています。ところが、前者の人が「この本には価値がありそうだ」と感じるためには、後者の人の推薦が必要です。“本を推薦できる人”は、いつの時代になく求められています。

これからは、書評ブログが、ブログメディア形態のトレンドの一つになる可能性があります。なぜなら、圧倒的大多数の“価値があるとわかっている本しか読みたくない人たち”と、極めて限られた“紹介者”という構図があるためです。需要と供給のアンバランスから、影響力を発揮しやすいのです。

10年来のつきあいの美容師と話して気がついた以上のような内容を、記事に整理してみました。

 

「価値のある本だけが読みたい」という人の急増

本が売れなくなっているのは周知の事実です。日本の出版業界特有の問題もあるようですが、最も大きいのはライフスタイルの変化です。世の中には、手間の面でも金銭面でも、少ないコストで消費できるコンテンツがいくらでもあります。わざわざ書籍を手に取ろうとする人の数は減っています。

その意味では、電子化が遅れたのは追い打ちでした。電子書籍は起爆剤にはなりませんけど、欲しいと思ったときにワンクリックで手に入れられれば、延命策にはなるはずでした。なぜなら、Kindleを使ってみれば一目瞭然であるように、少なくとも手に取るコストは大幅に減らせるからです。

あんまりコンテンツで溢れているので、極端に忙しい現代の人々は、価値のあるものだけがほしいと思うようになりました。利益になるかどうかわからないもののためには、1分1秒たりとも無駄にしたくないんです。そんな無駄をしていたら時間がいくらあっても足りないからです。

無名の映画を観ようと思う人が少ないのに似ています。2時間3時間を必ず消費するとわかっていたら、よほど暇でなければ「ドブに捨てる結果になってもいいや」とは思えないですよね。私たちは、3時間を費やすと知っていれば、面白いとわかっている映画が観たいんです。

書籍も、読み切るのに一定の時間が必要です。読みたいところだけ読んで「はい、おしまい」とは、なかなかいきません。だからこそ、読む価値があると思える書籍だけが読みたいわけです。

 

評判の起点となる紹介者の価値が高まっている

価値があるかを判断する基準は、「この人が書くのならおもしろいだろう」という著者だったり、「みんなが読んでいるみたいだ」という売れ行きだったり、「あの人もこの人も読んだほうがいいって言っていたな」という評判だったりします。だから、売れる本だけが極端に売れて、それ以外はさっぱり売れないという状況が加速しているんです。

村上春樹の新刊は売れるでしょう。著者名と売れ行き(予約発行部数)が、人々に「読む価値がありそうだ」と思わせるからです。

この視点から紐解くと、書籍が売れない原因の一つに、評判の起点となる人が少なすぎるという問題点が見えてきます。

一昔前は、読書体験そのものを楽しむ“本の虫”と言われる人たちがいました。売れ行きに関係なく自分の琴線に触れたものを読んで(むしろ、知名度の低い本を読むことがアイデンティティだった)、おもしろかったとかツマランとか言う人たちです。

価値があるかどうかわからない状態でも読んで、感想を発信してくれる、一昔前の“本の虫”のような人たちがいなければ、そもそも評判が起きません。人々は読む価値があるものだけを読みたいと思っているので、売れる書籍はどんどん売れ、売れない書籍は永久に1冊も売れないままという悪循環に陥ります。

ただし、どんなに書籍が売れないとは言っても、本が消えてなくなることはないはずです。娯楽としては手遅れかもしれませんが、少なくとも、知識を体系的に学ぶ手段としては悪くないからです。

娯楽として読書を楽しむ人は本当に少数派になってしまった実感がありますけど、価値があるとわかっている本を読みたい人はたくさんいます。つまらなそーな本でも読んで、「これはいいよ」と紹介してくれる人の存在価値は、いつにないほどに高まっているんです。

 

ihayato.書店の先見性

世の中には、圧倒的大多数の“価値があるとわかっている本しか読みたくない人たち”と、極めて限られた“紹介者”という構図があります。しかも今後、この状況は加速するでしょう。もしあなたが、極めて限られた紹介者の1人になれたとすれば、とても影響力を得やすい状況にあります。

昔から、書評ブログを書いている人はいました。ただ、彼らには、マーケティング感覚と発信力が不足していた印象があります。書評をコンテンツとして戦略的に活用し始めたのが、『ihayato.書店』や『きんどるどうでしょう』などです。

ihayato.書店

きんどう

特にイケダハヤトさんは、ニュースサイトから書評サイトへとピボットしたわけですが、説明してきたような理由から、これは非常に先見性のある判断だと感じています(バナー広告依存からの脱却、という目的もあるようですが)。

マネタイズの面でも(ブログの収益化の手段としては)優秀なのは、私自身もブックリスト記事を書くことがあるので、実感しているところです。例えば、

学生時代に世の中の見方を変えてくれた色褪せない名著16冊

このエントリ1つで、10,000円前後の収入にはなっています。AdSenseとは比較にならない高効率です。

 

書評ブログがトレンドの1つになる

“書籍を推薦できる人”が影響力を得やすい事実(と、もし収益化を考えるのなら、収益性もそれほど悪くない事実)はたぶん、マーケティングに敏感な人なら気づき始めています。これからのパーソナルメディアのトレンドの一つになるでしょう。

競合が少ないので、始めるなら今のうちだと個人的には思っています。もし、本を読む時間があれば(子供との時間が最優先でなければ)私も絶対に始めていんですが。

やるとしたら、ジャンルを限定した書評サイトですね。ミステリ小説ならここ、とか、ハウツー本ならここ、と明確に思い浮かべてもらえるブランディングがコツです。


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